もくじ
この記事では、JavaScriptを使ってライブラリなしで慣性スクロールを実装する方法を紹介します。
サンプルとして、このページを慣性スクロールに対応させてます。
【実装コード】requestAnimationFrame()メソッドで慣性スクロールを実装
<div class="inertia-scroll">
<p>ここにコンテンツが入ります。</p>
</div>
(function() {
// 慣性スクロールを適用したい要素を指定
const scrollElements = document.querySelector('.inertia-scroll');
// 要素が存在しない場合は処理を中止
if (!scrollElements) {
return;
}
let currentScroll = window.scrollY; // 現在のスクロール位置
let targetScroll = 0; // 目標スクロール位置
const ease = 0.1; // 慣性(0に近いほどスムーズになる)
const threshold = 0.1; // 差がこの値以下ならリセット
// 要素にスタイルを適用
scrollElements.style.cssText =
'position: fixed;' +
'width: 100%;' +
'top: 0;' +
'left: 0;';
// bodyに高さを設定
document.body.style.height = scrollElements.clientHeight + 'px';
// ページ更新対策
window.addEventListener('beforeunload', function() {
// ページ更新前にwindow.scrollYの値をsessionStorageに格納
sessionStorage.setItem('scrollY', window.scrollY);
});
let isReloaded = false;
const entries = performance.getEntriesByType('navigation');
if (entries[0] && entries[0].type === 'reload') {
isReloaded = true;
}
// ページ更新が更新された場合、sessionStorageからwindow.scrollYの値を取得
if (isReloaded && sessionStorage.getItem('scrollY')) {
currentScroll = Number(sessionStorage.getItem('scrollY'));
targetScroll = currentScroll;
window.scrollTo({
top: currentScroll,
left: 0,
behavior: 'auto'
});
}
// アニメーションを開始
updateScroll();
// スクロール位置を更新する関数
function updateScroll() {
if (Math.abs(targetScroll - currentScroll) < threshold) {
// 差が閾値以下ならリセット
currentScroll = targetScroll;
} else {
// 現在のスクロール位置を目標位置に近づける
currentScroll += (targetScroll - currentScroll) * ease;
}
// 位置を更新
scrollElements.style.transform = 'translate3d(0, -' + currentScroll + 'px, 0)';
// アニメーションフレームを設定
requestAnimationFrame(updateScroll);
}
// スクロールイベントで目標スクロール位置を更新
window.addEventListener('scroll', function() {
targetScroll = window.scrollY;
});
})();
注意事項
固定ヘッダー等の追従要素(
position: fixed
を指定している要素)は、<div class="inertia-scroll"></div>
の外に記述する必要があります。慣性スクロール実現するため、
<div class="inertia-scroll"></div>
にtransform
プロパティを設定してます。※CSSの仕様上、
transform
プロパティが指定された要素にposition: fixed
を持つ要素を指定した場合、ビューポート(画面全体)を基準とするのではなく、transform
を持つ親要素を基準に固定されるようになります。<div class="inertia-scroll"></div>
にページ内リンクがある場合、機能しない場合があります。ページ内リンクが機能しないときの対策方法は以下にまとめてます。
<div class="inertia-scroll"></div>
にアコーディオンメニュー等で動的に高さが変化する要素がある場合、body
の高さを調整する必要あります。また、動的に要素を追加したり、非同期で要素を追加する場合も
body
の高さを調整する必要あります。動的に高さが変わるコンテンツがあるときの対応方法は以下にまとめてます。
ほどんどのモダンブラウザに対応してますが、古いブラウザで動作しない場合があります。
ページ内リンクが機能しないときの対応方法
<div class="inertia-scroll"></div>
にposition: fixed
を指定しているため、通常の方法ではページ内リンクが機能しない状態になっています。
別途JavaScriptで要素の位置を取得して、スクロールさせるいう処理が必要になります。
実装コード
(function() {
// 慣性スクロールを適用したい要素を指定
const scrollElements = document.querySelector('.inertia-scroll');
// 要素が存在しない場合は処理を中止
if (!scrollElements) {
return;
}
let currentScroll = window.scrollY; // 現在のスクロール位置
let targetScroll = 0; // 目標スクロール位置
const ease = 0.1; // 慣性(0に近いほどスムーズになる)
const threshold = 0.1; // 差がこの値以下ならリセット
// 要素にスタイルを適用
scrollElements.style.cssText =
'position: fixed;' +
'width: 100%;' +
'top: 0;' +
'left: 0;';
// bodyに高さを設定
document.body.style.height = scrollElements.clientHeight + 'px';
// ページ更新対策
window.addEventListener('beforeunload', function() {
// ページ更新前にwindow.scrollYの値をsessionStorageに格納
sessionStorage.setItem('scrollY', window.scrollY);
});
let isReloaded = false;
const entries = performance.getEntriesByType('navigation');
if (entries[0] && entries[0].type === 'reload') {
isReloaded = true;
}
// ページ更新が更新された場合、sessionStorageからwindow.scrollYの値を取得
if (isReloaded && sessionStorage.getItem('scrollY')) {
currentScroll = Number(sessionStorage.getItem('scrollY'));
targetScroll = currentScroll;
window.scrollTo({
top: currentScroll,
left: 0,
behavior: 'auto'
});
}
// アニメーションを開始
updateScroll();
// スクロール位置を更新する関数
function updateScroll() {
if (Math.abs(targetScroll - currentScroll) < threshold) {
// 差が閾値以下ならリセット
currentScroll = targetScroll;
} else {
// 現在のスクロール位置を目標位置に近づける
currentScroll += (targetScroll - currentScroll) * ease;
}
// 位置を更新
scrollElements.style.transform = 'translate3d(0, -' + currentScroll + 'px, 0)';
// アニメーションフレームを設定
requestAnimationFrame(updateScroll);
}
// スクロールイベントで目標スクロール位置を更新
window.addEventListener('scroll', function() {
targetScroll = window.scrollY;
});
// すべてのリンクにイベントを追加
document.querySelectorAll('a[href^="#"]').forEach(function (link) {
link.addEventListener('click', function (event) {
event.preventDefault(); // デフォルトの動作を無効化
const adjust = 0; // スクロール位置の調整
const speed = 400; // スクロール速度(ms)
const href = this.getAttribute('href'); // href属性を取得
const target = href === '#' || href === '' ? document.documentElement : document.querySelector(href);
if (target) {
const position = target.offsetTop - adjust;
// スムーズスクロール対応か確認
if ('scrollBehavior' in document.documentElement.style) {
// スムーズスクロールを使用
window.scrollTo({ top: position, behavior: 'smooth' });
} else {
// フォールバック:アニメーションなしで移動
window.scrollTo(0, position);
}
}
});
});
})();
動的に高さが変わるコンテンツがあるときの対応方法
<div class="inertia-scroll"></div>
に高さが動的に変化する要素がある場合、高さが変化するたびにbody
の高さを更新する必要があります。
高さの更新方法は様々な方法がありますが、今回はResizeObserver
で<div class="inertia-scroll"></div>
の高さの変化を監視して、変化がればbody
の高さを更新する方法を採用しました。
実装コード
(function() {
// 慣性スクロールを適用したい要素を指定
const scrollElements = document.querySelector('.inertia-scroll');
// 要素が存在しない場合は処理を中止
if (!scrollElements) {
return;
}
let currentScroll = window.scrollY; // 現在のスクロール位置
let targetScroll = 0; // 目標スクロール位置
const ease = 0.1; // 慣性(0に近いほどスムーズになる)
const threshold = 0.1; // 差がこの値以下ならリセット
// 要素にスタイルを適用
scrollElements.style.cssText =
'position: fixed;' +
'width: 100%;' +
'top: 0;' +
'left: 0;';
// bodyに高さを設定
document.body.style.height = scrollElements.clientHeight + 'px';
// ページ更新対策
window.addEventListener('beforeunload', function() {
// ページ更新前にwindow.scrollYの値をsessionStorageに格納
sessionStorage.setItem('scrollY', window.scrollY);
});
let isReloaded = false;
const entries = performance.getEntriesByType('navigation');
if (entries[0] && entries[0].type === 'reload') {
isReloaded = true;
}
// ページ更新が更新された場合、sessionStorageからwindow.scrollYの値を取得
if (isReloaded && sessionStorage.getItem('scrollY')) {
currentScroll = Number(sessionStorage.getItem('scrollY'));
targetScroll = currentScroll;
window.scrollTo({
top: currentScroll,
left: 0,
behavior: 'auto'
});
}
// アニメーションを開始
updateScroll();
// スクロール位置を更新する関数
function updateScroll() {
if (Math.abs(targetScroll - currentScroll) < threshold) {
// 差が閾値以下ならリセット
currentScroll = targetScroll;
} else {
// 現在のスクロール位置を目標位置に近づける
currentScroll += (targetScroll - currentScroll) * ease;
}
// 位置を更新
scrollElements.style.transform = 'translate3d(0, -' + currentScroll + 'px, 0)';
// アニメーションフレームを設定
requestAnimationFrame(updateScroll);
}
// スクロールイベントで目標スクロール位置を更新
window.addEventListener('scroll', function() {
targetScroll = window.scrollY;
});
// 監視対象の要素を取得
const targetElement = document.querySelector('.inertia-scroll');
// ResizeObserverのインスタンスを作成
const resizeObserver = new ResizeObserver((entries) => {
entries.forEach((entry) => {
document.body.style.height = entry.contentRect.height + 'px';
});
});
// 要素の監視を開始
resizeObserver.observe(targetElement);
})();
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